花冷え~ただ一度の禁断の姉弟の「夜」~

花冷え~ただ一度の禁断の姉弟の「夜」~

著作者:河合二葉
両親を突然の事故で亡くし、大きな屋敷に二人残された姉と弟。お互いに身を寄せ合って生きてきたが、弟の高校卒業と同時に、親戚からのすすめで姉は結婚することとなる。その五日ほど前のこと。<BR><BR>もうすぐ姉はあいつと結婚して、この家で僕と三人で暮らすのだ。ひとつ屋根の下、毎晩あの男が姉を自由にするのを、僕はじっと耐えるしかない……<BR><BR>夜、眠れない弟の部屋に訪れる姉。思わず寝たふりをする弟。そんな弟の顔を見つめ、そっとくちびるを重ねてあわてて立ち去る姉。<BR><BR>――いっ……今の……は……?<BR><BR>お互いがお互いの気持ちに気がついてしまった時、運命から逃れようと、また、運命を受け入れようと懸命な努力をするふたり。<BR><BR>「はやく……早く結婚しなくちゃ……。この家には父さんも母さんもいないわ……。わたしたちは何だって出来るのよ?そうしたくなった時……一体誰が止めるの?だから早くっ……間違いが起こる前に……」<BR><BR>「……もう遅いよ……。本当は姉ちゃんだってわかってんだろ……。だってさっきの、あれはもう間違いなんだよ」<BR><BR>極限まで煮詰められた二人の濃密な時間が始まろうとしている……
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